私の心友にため息が出るくらいき麗な30代の女性がいる。
メイクはすっぴんに限りなく近く、小じわまでもナチュラルで美しい。
髪はいつ会っても、後ろで固く結んでいて、10年ぐらいずっと変わらない。
とてもクールで素振りを見せないので一見わからないが、地方出身の資産家のお嬢様だ。

天然由来で、
「わたし絶対に料理は自分でしないの」
「ホテルのテラスで、ハーブティを飲んでいる時が一番幸せなの」
などなど、真剣な顔でちょいちょいお嬢様を匂わせる。
抜けているキャラが男心をくすぐるのだと思う。
こんな美しい女性をものにする男性はいったいどんな人なんだろう。
つかみどころがない、手に入らない女性に男性はやきもきする。

そして、年間のほとんどを海外で過ごしている為、日本にステディな彼をつくらない。
長期の旅行ではなく、短期で何度も出かけていく。
気づいたらいない。
この間までいたのに、次連絡すると、いつも日本にいないのだ。
彼女は人生を楽しみながら、上手に歳を重ねている。

ほんのわずかな彼女の帰国時には、一緒に合コンへ出かける。
どこでこんなエリート紳士と出会うのだろうと感心するくらい、
いつも誠実な男性を紹介してくれる。
普段は誠実かどうかはわからないが、少なくとも私達の前では女性の扱いが非常にスマートな男性だ。
選ぶお店は決して高級ではなく、どんな男性でも平等に接し、へんな余裕がある。
そしてあざとさの微塵も見せない。
しかし、自分の武器をよく知っている。

絶妙なタイミングで相づちをうち、男心をくすぐるのだ。
男をいい気分にして、どんどん男性の会話が盛り上がる。
でも決して彼女は本音を語らない。
どの男性も彼女の恋人になりたい。
これまた絶妙にはぐらかすのだ。
女性の私でも、たまにツッコミたくなる。
もどかしい。

彼女は、各国に良い感じの関係の男性がいる。
旅を決めると同時に、日本の男性には見せない色っぽい一面をあらわにする。
長い髪もほどき、ミニスカートに細長い脚が目をひく。
彼女なりに性の欲望をちゃんと表現している。
結婚願望がない彼女は、いつまでも変わらない自分らしい生き方を見つけているのだ。
その信念は、ある意味ブレていない。彼女は見惚れる程魅力的だ。