毎週土曜日、日本時間朝7時ちょうど。
私はある男性と1時間ZOOMでお喋りをする。
たまに朝6時の時もある。
もう1年になる。
出会いははっきり覚えている。
オンラインlanguage exchange(言語交換）で彼からメッセージが来たのだ。
昔、日本で働いていたのだが、今は帰国して喋る機会がないので、日本語を
キープしたいと言っていた。
遠い昔のことのように感じる。
当時は、お互い本当に勉強の意識で、会話をしていた。
あれから1年。
今となっては、彼への感情が変わってきている。
よくわからないが、間違えなく勉強ではない。
自分でも朝7時から何を喋るんだろうと思うのだが、これが月日を重ねる毎に
どんどん楽しくなっている。
週末が待ち遠しいのだ。身体が声が聞きたいと反応し、ソワソワする。
彼が楽しいと思っているかは、聞いたことがないのでわからない。
少なくとも私はワクワクしている。
そして、これが私の目覚まし時計になっていて、1日がとても充実している。
彼はとっても大人しいので、いつも私が話題をふる。
彼は博識で、１つの質問に１０で返してくれる。
何を尋ねても、わからないと言われたことはない。
いつか私の生理の悩みを話した時も、おすすめのサプリメントを教えてくれた。
朝から2人でよく大声で笑いあっている。
仕事の事、政治の事、文化の事、勉強の事、お酒の事。話は尽きない。
そして、2人の暗黙の了解がある。
私が彼の1番好きなところだ。
お互い生活感を見せないこと。
たぶん聞けば答えてくれる。でもお互い聞いた事がないし、話題に出ない。
彼は今までどんな恋愛をして、結婚しているのか、子供がいるのか、何歳なのか。
座っているので、身長もわからない。
彼の部屋のZOOMの背景は、床から天井まで本で埋め尽くされている。
き麗に整理整頓された部屋だ。その情報だけ。
恐らくだけど、彼は結婚していて、私より5歳くらい年下。
それも想像だ。
私は生活感を出さない男にセクシーさを感じる。
何かと家族と子供と仕事の話しか会話の引き出しがない男性はつまらない。
デートをしようと思わない。
子供がいてもいなくても、家族以外の2人の話題が絶えない。
たとえ夫婦だとしても。
それって素敵な事だと思う。
彼は朝4時に起きて勉強をしている。もしくはランニングをしているのかもしれない。
体が鍛えあがっている。
そして7時からが、私との会話の時間だ。
毎週顔を合わせていると、服装も似てくる。
運動の後なら、白か黒のTシャツ、この後出かける時は、アイロンがけされたシャツ。
コーディネートが一緒でドキッとする。
その日の雰囲気で彼の1日の予定が想像出来る。
私達に時差がない。だから朝の眠さも一緒だ。
でも、お互い今週は予定があるから止めておこうと言ったことがない。
予定があったとしても、終わってから入れるようにしている。
1度だけ彼が30分寝坊をしたことがあった。
髪だけぼさぼさだったことがあり、初めて人間らしい1面を見た。
その日以外は、きちんと髪を整え、私もちゃんと化粧にピアスもしている。
そういうところも好きな部分。
土曜日のZOOMの後はなんとなく彼の事を考えている。
過去の踏ん張ってきた自分に、今の彼の姿が重なって、励まされている。
一般的な結婚や家族の形にとらわれず、お互い自由に自身の進路を選び進んでいる。
何もかもから解放される１時間なのだ。
いつか会える日がくるかもしれない。
それはそれで喜んで受け入れる。
でもお互いそれは今ではない。
会うと必ず自分の気持ちを抑えられないのがわかっているから。
80億人の世界の人口の中で、私を見つけてくれてありがとう。
