私は仲のよい男友達とこの春から大学院生になった。
社会人が通うコースだ。
今年の初めから電話で、お互いの目標について語り合ってきた。
切さ琢磨し合う心友である。
男友達は、物静かで、穏やかで、電話していてもとても心地が良かった。

私から電話をすることはない。
連絡はいつも仕事が忙しい彼のタイミングでスタートする。
「今週末電話していい?」
メッセージを受け取る瞬間はめちゃくちゃ嬉しい。
ワクワクする。
何を喋ろうか。想像が膨らむ。

電話だけでもきっちりメイクをする。
ビデオチャットにするからだ。
頑張りすぎているのがばれないように、服はカジュアルな物を身に付ける。
大学院での講義の悩み、新たな発見等。たわいない話。
私達は何時間も電話した。

同じ未来に向かって走り続ける仲間がいる事に私は幸せを感じていた。
というよりも、私は彼に恋をしていた。
もちろんそんな素振りはみじんも見せない。
シャイで言葉数が少ない彼にとって、クールな私の性格を女友達として気に入っているのだろう。
大学院に通いだして彼は生き生きしていた。
彼は私の前でとてもお喋りになった。
そんな彼を見ているのが幸せだった。

一生学生が続けばよいのに。
また彼と電話する新たな口実を探さないといけないから。
ずっと彼にとっての心友として寄り添っていたい。
でも、彼と付き合って抱き合う日が来ないかなぁと期待してしまう自分もいる。