学生時代からの恋人は大切にしろと言われてきた。
肩書も収入も関係ない。
純粋な僕を選んでくれたのだから。
でも男と女は一度すれ違うと後戻り出来ない。

大学2年、誰もが羨む美人な彼女が出来た。
もちろん大切にした。
短大出身の彼女は先に卒業し、就職した。
もちろん僕は忙しい彼女を支え、応援した。
彼女の前では。
もちろん彼女の事が好きだった。

ただ僕のナンパ癖は止まらなかった。
一流大学出身の僕は、簡単に女の子と
飲みにいくことが出来た。
ナンパするのは、特段美人ではない普通の女の子。
その日が楽しければ問題なかった。
なぜ止められないのか。。
部活の仲間がみんな繰り出すから。
週1の貴重な部活の休日。
僕は仲間と渋谷で遊ぶのが楽しくて仕方がなかった。
たとえ彼女でも、誰も僕を止めることは出来なかった。

大企業に就職し、流石にナンパ生活は終わった。
同時に社会人3年目に入った、彼女からの
結婚のプレッシャーがすごくなった。

女性にとってちょうど仕事を辞めたくなる時期なのだろう。
なんとなく彼女の夢を叶えてあげた。
断る理由がなかったから。
僕は既婚者になった。

ただ僕の合コン癖は止まらなかった。
なぜ止まらないのか。。
部活時代の仲間が毎晩のように繰り出すから。
24歳の僕にとって仲間との遊びを止めるのは酷だった。

程なくして自然と彼女も出来た。
次第に、朝帰りになった。
出勤する妻と、駅前で無言ですれ違う朝もあった。
それでも僕は絶対に浮気を認めなかった。
社会の体裁を保つためにも、
離婚はするつもりがなかったから。

ある日、妻に携帯を見せてと言われた。
僕は携帯を割り、真実を隠し続けた。
でも現実は、もう限界だった。

自分がクズなのはわかっている。
僕が100%悪い。
彼女は何も悪くない。
でもあの頃の僕は反抗し続けた。

男と女は一度気持ちが離れると、後戻りは出来ない。
彼女が早く就職したのが悪いんだ。
彼女が結婚を迫ったから悪いんだ。
僕は遊びたい盛りなのに。。
回りの友達はみんな独身をおう歌している。
妻を心の中で攻めるようになっていた。

そんな自分がもう嫌だった。
海外駐在に手をあげた。
僕は日本からも妻からも姿を消した。