恋人がいる時でも、いない時でも誰かしら気になる男性は
作っておきたい。
私は何故か昔から年下の男性が好きだ。
私のまわりは皆そうだからかな。
恋人とは別な恋に燃えて、嘘をついたまま歳を重ねたいのかもしれない。
彼氏の前でいつまでも若々しくいられるように。

合コンで、10歳以上年下の新人2年目の男の子に出会った。
席が私の目の前だった。
大手メガバンク本店に勤める彼の目はキラキラしていて、大きくて、
私の好みだった。
もともとジャニーズ系が好きで、この手の容姿には見惚れてしまう。
その合コンはいたって普通で、みんなで連絡先を交換して終わった。
正直、特に何も印象に残らなかった。

翌日、新人君からお礼のメッセージがとどいた。
「昨日はありがとうございました。今度デートしませんか?」
ドキドキした。「うそでしょ?」
連絡先交換したし、挨拶するのが礼儀と思ってくれたのかもしれない。
人生の一大事はフィーリングや勘で決めた方が良い。
私はすぐに返事した「嬉しい。楽しみにしているね」
当時銀行業界に詳しかった私は、会話のネタに困らない自信もあった。

私はデートプランを考えるのが嫌いだ。
彼は自然に率先して、都内で有名な高級イタリアンレストランを予約してくれて、
時間まで決めて、連絡してくれた。
「どうして私のために、こんな素敵なレストラン?」チョイスにはドキドキしたけど、
素直に嬉しかった。

夜20時の待ち合わせ。
新人の彼にとって、この時間の集合は難しいだろうと思っていた。
案の定、30分遅らせて欲しいと連絡があった。
逆に申し訳ない気持ちになった。
彼は、先に待っていた私に向かって走ってやってきた。何てかわいいんだろう。。
若い子の表情には凄い威力がある。
疲れた顔も若さでカバーしていた。
彼は私を「さん」付けで呼び、初デート最初は敬語だった。
食事が終わる頃にはため口になっていた。
今年の夏は一緒に浴衣を買って夏祭りに行こうと約束した。
旅行も行きたいねって、色々計画した。

かなりのお会計額だったと思う。
「僕遅れたんで、今夜は僕がご馳走します」
この時気づいた。彼はこの口実を作る為に、わざと遅れて来たんだって。
急に愛しくなった。

その夜、自宅に帰り、私は恐怖に襲われた。
このまま関係が進むと、私は確実に彼を好きになってしまう。
出会ったばかりで、彼への妄想を膨らませる。
別にすぐに関係をもちたいという妄想ではない。
「やりたい」というより「もし彼と付き合うことになったら、
この年上女性の裸を見せることになるのか。。」
彼みたいな美男子が私を本気で好きになるはずがない。
ありもしない妄想が私を苦しめた。

つきあって3年目になる彼氏に、友達の話だと言って、それとなく相談してみた。
爆笑して、「無理に決まってるじゃん。やめとけ。つきあってる彼との関係を安定させろ」
と一蹴した。
そうだよね。

私は年下君に、週末一緒に浴衣を買いに行く約束をキャンセルした。
「僕も仕事になりそうだったんで、ちょうどよかったです」
優しい言葉に救われた。
あぁこうやってチャンスを逃してしまうんだな。
でも内心ほっとしている自分もいた。これで良かったんだ。